【1月のコラム】冬本番!ノロウイルス・感染性胃腸炎から身を守る

新年あけましておめでとうございます。1月は感染性胃腸炎が最も流行する時期です。2026年1月現在、全国的に感染性胃腸炎の患者数が増加しており、福岡県内でも高齢者施設などで集団感染が相次いで報告されています。今回は、ノロウイルスを中心とした感染性胃腸炎の予防と対策についてお話しします。
📊 2026年1月の流行状況
全国的に感染性胃腸炎の患者数が増加しており、多くの地域で警報レベルに達しています。
全国の状況
- 1月は例年、感染性胃腸炎のピーク時期
- 主な原因はノロウイルス(GII型)
- 定点当たり報告数が警報レベル(20人以上)を超える地域が続出
福岡県の状況
- 県内の高齢者施設で集団感染が複数発生
- 北九州市、福岡市などで集団発生の報告
- 入所者や職員が嘔吐・下痢の症状を訴える事例が増加
⚠️ 注意
年末年始の帰省や新年会などで人との接触機会が増える時期です。感染予防を徹底しましょう。
🦠 ノロウイルスとは?
ノロウイルスは、感染性胃腸炎の主な原因ウイルスで、非常に感染力が強いのが特徴です。
ノロウイルスの特徴
- 非常に少量で感染:わずか10〜100個のウイルスで発症
- 感染力が強い:乾燥しても長期間生存可能
- アルコールが効きにくい:一般的な消毒液では不十分
- 免疫が続かない:何度でも感染する可能性がある
😷 症状と潜伏期間

潜伏期間
12〜48時間(通常24〜36時間)
主な症状
- 突然の激しい嘔吐(1日に何度も)
- 下痢(水様便)
- 腹痛
- 吐き気
- 発熱(37〜38℃程度、軽度)
- 頭痛、筋肉痛
症状の経過
- 症状は1〜2日程度で自然に回復することが多い
- 乳幼児や高齢者は重症化しやすい
- 脱水症状に注意が必要
🔄 感染経路を知る
ノロウイルスは主に以下の3つの経路で感染します。
1️⃣ 経口感染(食品から)
- ウイルスに汚染された食品(特に二枚貝)を生または加熱不十分で食べる
- 感染した人が調理した食品を食べる
2️⃣ 接触感染
- 感染者の便や嘔吐物に触れた手で口に触れる
- ウイルスが付着したドアノブ、手すりなどを触る
3️⃣ 飛沫・空気感染
- 嘔吐物が乾燥してウイルスが空中に舞い上がる
- 嘔吐の飛沫を吸い込む
🛡️ 予防の基本:正しい手洗い
ノロウイルス予防の最も重要なポイントは石鹸を使った丁寧な手洗いです。
正しい手洗いの方法
- 流水で手を濡らす
- 石鹸をよく泡立てる
- 30秒以上、以下の部分を丁寧に洗う
- 手のひら、手の甲
- 指の間
- 爪の間
- 親指の周り
- 手首
- 流水で十分にすすぐ
- 清潔なタオルまたはペーパータオルで拭く
- 重要:2度洗いが効果的
手洗いのタイミング
- トイレの後
- 調理の前
- 食事の前
- 帰宅時
- おむつ交換の後
- 嘔吐物や便の処理後
💡 アルコール消毒の限界
ノロウイルスには一般的なアルコール消毒が効きにくいため、石鹸での手洗いが最優先です。アルコール消毒は補助的に使用しましょう。
🧴 正しい消毒方法

効果的な消毒方法
1. 次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)
ノロウイルスに最も効果的な消毒方法です。
- 家庭用塩素系漂白剤(ハイター、ブリーチなど)を使用
- 濃度の目安:
- ドアノブ、手すり、トイレなど:0.02%(200ppm)
- 嘔吐物・便の処理:0.1%(1000ppm)
希釈液の作り方
0.02%溶液(日常の消毒用):
500mlのペットボトルの水に、キャップ1杯(約5ml)の塩素系漂白剤を入れる
0.1%溶液(嘔吐物処理用):
500mlのペットボトルの水に、キャップ2杯(約10ml)の塩素系漂白剤を入れる
2. 熱湯消毒
- 85℃以上で1分間以上の加熱が有効
- 食器、調理器具、衣類などに使用
- 煮沸消毒も効果的
消毒する場所
- ドアノブ、手すり
- トイレの便座、レバー
- 水道の蛇口
- 電気のスイッチ
- テーブル、椅子
- リモコン、スマートフォン
🤮 嘔吐物・便の処理方法
家族が感染した場合の適切な処理方法です。
準備するもの
- 使い捨て手袋(2重にする)
- 使い捨てマスク
- 使い捨てエプロンまたはガウン
- ペーパータオル
- ビニール袋(2重)
- 次亜塩素酸ナトリウム液(0.1%)
処理手順
- 換気:窓を開ける
- 防護:手袋、マスク、エプロンを着用
- 拭き取り:ペーパータオルで外側から内側に向かって静かに拭き取る
- 消毒:0.1%次亜塩素酸ナトリウム液で消毒(10分間放置)
- 廃棄:使用したものは全てビニール袋に密閉して廃棄
- 手洗い:最後に石鹸で2度手を洗う
⚠️ 重要な注意点
・嘔吐物は乾燥すると空気中にウイルスが舞い上がります
・できるだけ早く処理することが重要
・処理する人以外は近づかない
🍽️ 食品の取り扱い
二枚貝(牡蠣、あさりなど)の注意
- 中心部まで85〜90℃で90秒以上加熱
- 生食は避ける、または新鮮なものを選ぶ
- 調理器具は使用後すぐに洗浄・消毒
調理時の注意
- 調理前後に手を洗う
- まな板、包丁は使い分ける
- 体調不良時は調理を控える
- 野菜や果物もよく洗う
💊 感染した時の対処法

基本的な対処
- 水分補給が最重要:経口補水液(OS-1など)を少しずつ頻繁に
- 安静にする:無理せず休養
- 消化の良い食事:おかゆ、うどん、バナナなど
- 下痢止めは使わない:ウイルスを体外に出すことが重要
こんな時はすぐに受診
- 水分が全く取れない
- 尿が半日以上出ない
- 意識がもうろうとする
- 血便が出る
- 激しい腹痛が続く
- 高齢者や乳幼児、妊婦の場合は早めに相談
他人にうつさないために
- 症状がなくなっても1週間程度はウイルスを排出
- トイレ後の手洗いを徹底
- タオルは家族と別にする
- 入浴は最後にする
- 調理は控える
🏥 大庭クリニックでできること
当院では、感染性胃腸炎の診療と相談を行っております。
- 迅速診断:症状の診察と必要に応じた検査
- 脱水症状の治療:点滴による水分・電解質補給
- 適切な指導:自宅でのケア方法、二次感染予防
- 訪問診療:通院困難な方への在宅診療も対応
📞 受診前のお願い
感染性胃腸炎が疑われる症状がある場合は、来院前に必ずお電話でご連絡ください。他の患者様への感染を防ぐため、適切な対応をご案内いたします。
まとめ
ノロウイルスによる感染性胃腸炎は、1月が最も流行する時期です。予防の基本は「石鹸での丁寧な手洗い」と「適切な消毒」です。
特に重要なポイント:
- ✓ 石鹸で30秒以上、2度洗いする
- ✓ アルコールではなく次亜塩素酸ナトリウムで消毒
- ✓ 二枚貝は十分に加熱
- ✓ 症状が出たら早めに受診・水分補給を徹底
- ✓ 症状がなくなっても1週間は感染予防を継続
家族みんなで予防を心がけ、健康に冬を乗り切りましょう。
📍 大庭クリニック 診療時間
電話:0948-25-5678
診療時間:午前9:00〜12:30
休診日:木曜午後・土曜午後・日曜・祝日
アクセス:西鉄バス「伊岐須」バス停徒歩1分
駐車場完備
※感染性胃腸炎が疑われる症状がある場合は、来院前に必ずお電話でご連絡ください。
大庭クリニック 院長 中島 雄一郎
参考情報:
厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
国立感染症研究所「感染性胃腸炎とは」